モンテッソーリ小学校教育について

Maria Montessori

“Education between the ages of six to twelve is not a direct continuation of that which has gone before, though it is built upon that basis. Psychologically there is a decided change in personality, and we recognize that nature has made this a period for the acquisition of culture, just as the former was for the absorption of the environment.”

Maria Montessori
“To Educate the Human Potential”

「モンテッソーリ教育」に
小学校教育があるのをご存じですか?

モンテッソーリ教育というと幼児期の教育をイメージされる方が多いかもしれません。
モンテッソーリの小学校があるのを知らなかったという声も多く聞きます。けれども、教育は幼児期だけで終わるものではなく、その後も継続していくものです。

「モンテッソーリ教育」に小学校教育があるのをご存じですか?

マリア・モンテッソーリ博士は人間の発達を4段階に分けて心身の発達の特徴をまとめ、各段階で必要な教育を示しています。

その2つ目の段階となる児童期(6-12歳)の教育がモンテッソーリ小学校教育です。

また、マリア・モンテッソーリ博士は各発達段階における子どもたちの魂の叫びをスローガンにして示しています。
幼児期は「自分でするのを手伝ってね」、児童期は「自分で考えるのを手伝ってね」です。

このスローガンからもわかるように児童期の子どもたちは「自分で考える」ことを求めています。
教具を使って、本を使って、グループで…。モンテッソーリ小学校教育は、様々な形で子どもの「考える」環境を整えていきます。

幸せな人格形成、子どもが主体であるという基本的な軸は同じでも、幼児期と児童期の学びは大きく異なります。

幼児期は感覚や運動機能をが発達する時期(敏感期)のため、手指や感覚を使った活動を多く行います。しかし児童期になると「敏感期」はなくなり、より頭で考えることが増えていきます。

それは感覚や手による学びだけを頼りにするのではなく、徐々に情報を頭の中だけで処理することが出来るようになり、感覚や実物を使わなくても学べるようになってくるからです。

幼児期から継続する
モンテッソーリ教育の特徴

異年齢混合のクラス

3-6歳、6-12歳(または6-9歳、9-12歳)というように異なる年齢の子どもたちが1つのクラスで活動をします。
年下年上に関わらず、お互いから学びあう環境です。

自分で決める時間割と活動

モンテッソーリ教育では自ら選ぶことを大切にしており、先生が子どもたちの活動を一方的に決めることはありません。
先生は子どもたちが自分で活動を選べるように、様々な活動を紹介し、導きます。

いわゆる「授業」ではない学び方

モンテッソーリ教育では、教師が生徒に知識を与える、という一方通行の授業は行いません。先生は教えるのではなく、学びへ導く役を担います。しかし先生がまったく教えないということはなく、新しいことを学ぶ時は必ず「レッスン」という先生が子どもたちに教える時間があります。

モンテッソーリ小学校教育の
特徴

幼児期で繰り返し行っていた「日常生活の練習」「感覚教育」がなくなり、よりアカデミックでダイナミックな学びをしていくのがモンテッソーリ小学校教育です。

0-6歳までの「日常生活の練習」がなくなってしまうの?と思われる方もいるかもしれませんが、その内容は統合され、掃除や料理、生き物の世話といった形で日常の中で自然に行われます。

また、地理や生物で行われる「実験」は児童期の日常生活の練習とも言われています。他にもアートなどで手を使う機会はたくさんあります。

幼児期から連続するもの、変化するものを教師が丁寧に観察しながらモンテッソーリ小学校教育は進んでいきます。

コスミック教育

モンテッソーリ小学校教育の最大の特徴は「コスミック教育」です。
コスミックを日本語にすると宇宙ですが、ここでいう「宇宙」はいわゆる天体、惑星などの学術的な宇宙でなく、自然界と地球、惑星すべてを含む「宇宙(universe)」です。

コスミック教育に必要なのが5つのグレイトストーリーと呼ばれる物語です。

  • 宇宙と地球のはじまりの物語
  • 生命のはじまりの物語
  • 人間のはじまりの物語
  • 言葉のはじまりの物語
  • 数のはじまりの物語

この5つのグレイトストーリーを基に、子どもたちは学んでいきます。

分野を超えた学び

モンテッソーリ小学校では「国語」、「算数」、「社会」のような教科ごとではなく、分野(科目)を横断して学びます。

分野(科目)

  • 言語 (国語や英語)
  • 生物
  • 歴史
  • 幾何学 (図形、算数の内容も入ります)
  • アート、音楽 (絵画や工作、裁縫など)
  • 地理 (理科、社会)

例えば、幾何学の教具を使った活動からピタゴラスの話になり、ピタゴラス(歴史上の人物)についてを調べ、歴史教育につなげていくなど、様々な分野がつながっていることを感じながら学びを深めていくのです。
そしてどの分野においても、子どもたちは、よく書き、よく読むので、全ての分野が言語教育につながります。

先生(ストーリーテラー)

先生(ストーリーテラー)

モンテッソーリの小学校教師は、地理、生物、歴史、数、言語、幾何学の6つの分野(科目)の教具や活動を子どもたちに提示するだけでなく、各分野の物語の語り部となることが求められます。

各分野のはじめには、グレートストーリーと呼ばれる物語が用意され、先生たちが語り部となって子どもたちに紹介します。

児童期の子どもの持つ想像力に働きかけ、学びの扉を開きます。

バラエティにとんだ繰り返し

バラエティにとんだ繰り返し

何度も何度も同じことを繰り返して満足していた幼児期と違い、児童期の繰り返しはバラエティに富んでいます。

先生が見せた活動を、自分達独自のアイデアで様々な形で繰り返すことが許されています。

それは、フォローアップとよばれる活動で、学んだことをさらに自分たちで深めていきます。

モンテッソーリの小学校教育では、興味を深め、多くの知識を学びながら、自信や責任感、人や他の生き物への愛、地球や自然を敬う心を持った人格形成を大切にしています。

全ての活動や勉強は、児童期の発達の特徴に対応する整えられた環境の中で、「子どもたちが自ら学ぶ楽しさを知り、学びに対する最大限の努力をし、乗り越え、自分や未来に良いイメージを持つ」ための手段です。
そして子どもたちがそう思えることが究極の目的です。そのため、活動の幅も広がり、学び方も幼児期までとは異なるのです。

グループワーク

グループワーク

個々で活動することが多かった幼児期に比べ、児童期はグループでの活動が増えます。

基本的には数人の小集団で活動します。

先生によるレッスンもグループでの提供が基本となります。
児童期の特徴でもある仲間や友達とグループ化することはそのため、幼児期の時よりも、クラスがにぎやかなことも特徴です。

ジャーナル

敏感期にそって、自由に活動を行っていた幼児期とは異なり、児童期には子どもたちが自分の活動を自分自身で責任もって管理し、遂行していきます。

子どもたちは「ジャーナル」とよばれるノートを使って、自分の活動を書いて記録し、管理、計画をしていきます。

ゴーイングアウト

家庭や学校を超えて社会を深く関わりたい、と思うのも児童期の特徴です。
子どもたちは自分達の知りたいことを深められるように、博物館や地域の店などに出かけて調べる機会を持ちます。それをゴーイングアウトと呼んでいます。

その他

もっと知りたい方は、代表あべようこの著書「学ぶのが好きになる!小学生のためのモンテッソーリ教育」(河出書房新社)をご覧ください。

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